Climb Ev'ry Mountain ~ An English teacher's blog~

just a memorandum of what I learn

英語冠詞講義(石田秀雄, 大修館 2002)

英語における複数とは1を越える数のことであり、2以上だけでなく1を超え2までにある数(例えば、1.2や1.5)についても、文法形式上は複数形を用いて表現しなければなりません(p.76)

単数とは1だけでなく、1未満の数をも包んだ概念である(p.80)ただし、1未満を表しているにもかかわらず、複数形をとっている例もある。
e.g.) 0.6 litres (Cambridge International Dictionary of English)

不定冠詞 a と 数詞 one の間の意味や機能の違いから、類だけを問題にしているのであれば、one を使用することは適当ではなく、反対に量を表現することのみに重点を置きたいときには、不定冠詞ではなく one を用いるべきだということがわかります(p.92)
e.g.) There are seven days in a week.
数の上の対比ではなく、month, yearといった他の単位との対比
e.g.) seven days in one week
量に重点を置き「何と1週間に7日も」というようなニュアンス

個々のメンバーを完全に捨象し、1つのまとまりを持った存在として対象をとらえる統合的認知が働いた場合、単数形の動詞と呼応するのに対して、1を越える構成メンバーからなる複数の存在として対象をとらえる離散的認知が働いた場合は、単数形の名詞が使用されていても、動詞との関係では複数扱いになるのです(p.96)

e.g.) A new family has/have moved in next door.
※2通りの認知が適応される集合名詞: audience, club, committee, government, team

Twenty miles is a long way to walk.
複数形によって表現されている一定の距離を、統合的認知によって1つのまとまりとして描き出そうとする意図が話者の側にある(p.98)

An estimated 15 million trees were blown down.
It's been a full six months since I last heard from her.
I've had a very busy three days.
複数を表す不定冠詞(現代英語のsomeに相当)から発達した a (as in "a few", "a good many")
数詞を伴い、 full, good, record, scanty, tiny といった多寡を表し、ある程度まとまりを感じさせるような性質を有する形容詞を伴っている傾向がある(p.99)

可算名詞で表現される対象が多数集まっているときに、不可算名詞の形でも表現される(p.101)俯瞰して見るともともと有界的であったものが非有界的に見える。
e.g.) He's starting to get a few gray hairs now.
        an old lady with gray hair

定冠詞 the の外界照応的用法 (p.117)
1) 人類全体が共有している一般的知識
2) 特定の共同体あるいは国民が共有している一般的知識
3) ある特定の場面に当てはまる個人的・背景的知識 (Geoffrey Leech)

定冠詞 the の前方照応的用法 (p.131)
1) 同一語による前方照応  e.g.) She is in an art class.  Kenji is in the class, too.
2) 同義語による前方照応  
     e.g.) Fred was wearing trousers. The pants had a big patch on them
3) 連想による前方照応
     e.g.) I had to get a taxi from the station.  On the way the driver told me there was a bus strike. 
※ 先行する名詞を受けて用いられるだけでなく、先行する動詞などから連想されてtheが用いられる場合もある。

定冠詞 the の後方照応的用法 
後に現れる要素を支えとすることによって、聞き手が指示対象唯一的に同定するにいたるはずであるという判断が話者の側にあるときに用いられる (p.142)
e.g.) The two Indians spoke the same language.  same = 全く同一の
         The two Indians spoke a similar language.  similar = 同じような

e.g.) This is the identical room we stayed in last year.     identical = 全く同一の
   They're wearing identical clothes.    identical = 同じような

e.g.) It was a most beautiful morning.
絶対最上級の文は、他の同じような事例と比較しているのではなく、(中略)問題となっている名詞の指示対象がそれ自身だけで極めて程度が高いとうことを記述しているだけであり、話者は聞き手に対して指示対象の唯一的な同定を求めているわけではない(p.151)